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『おもいでエマノン』(梶尾真治/鶴田謙二)

梶尾真治原作/鶴田謙二漫画『おもいでエマノン』(徳間書店

 収録作:表題作

 区分:漫画

 ※ネタバレはありません。

 

 

 

「おもいでエマノン」あらすじ

 失恋旅行をすることにした「」は船の中で美少女・エマノンと邂逅する。エマノンは、自分は「地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶している」と語るが本当なのかと問うと冗談だと笑い、話題を転換させた。そして翌朝……

 

 

 

「おもいでエマノン」感想

 私が大好きな漫画のひとつ。定期的に読み返している。あまりに気に入ったので、原作も買った。どちらも良い。漫画は続編が二巻出ているのだが、さらなる続編を望む次第。ちなみに続編には「僕」は出てきません。

 さて、感想。

 まず、絵が美しい。風景が異様に美しく、ノスタルジックなのだ。そして、一コマ毎に物語を感じられる。私が一番好きなのは、これに収録されている「エマノンのおもいで」という、台詞のないカラー漫画。台詞がないのにもかかわらず、確かな物語が息吹いている。白黒でも色が浮かんでくる絵だけれど、やっぱりカラーだと段違いに美しい。続編である「さすらいエマノン」は何と、表題作はオールカラー。もし「おもいでエマノン」を読み終えたなら、「僕」が出てこないから……なんて理由で敬遠するのは勿体ない。

 そして物語の様式美。期待を裏切る展開、というのはきっとない。物語を読み慣れた人にとっては予測が付くようなオチ。けれど、胸に刻まれる。キャラクターたち(といってもふたりしか主要な登場人物はいないが)の葛藤が愛おしく、美しい

 私が本を読む際に重要視しているのは美しさ。この本は、様々な美しさを包容している、贅沢な一冊なのである。